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ジェイシェリ記念SS

口笛

静かなメロディで聞こえてきた口笛にシェリーは顔を上げた。
「何の歌?」
イドニアのジェイクの家に通う内にいつのまにか増えたソファは二人掛けだが二人で座ると狭い。ジェイクが大きいからよ、と肩で肩を押したら、「どうせくっつくんだから一緒だろ」と額で額を小突かれてそのまま押し倒されたのはいつだったか。それからはお互いが何か違うことをしている時は、ジェイクが正面を向いて座っている肩に後頭部を乗せて彼を背もたれにするようになった。シェリーは完全に横を向いて足をソファに上げているが、ちょうどソファの肘掛けとの間に納まって居心地がいい。
振り仰ぐようにジェイクを見上げれば、彼の端正な横顔が見えた。こちらを見ないまま聞き覚えのないメロディを紡ぐ口笛は唐突に終わって、代わりに「重い」という呟きが落ちてきた。
「この体勢が一番楽だもの」
シェリーが笑うと、ジェイクが顔を顰めた。
「だからって全体重かけやがって。遠慮しろよ」
「そんなに重くないでしょ!」
うららかな昼下がり、こんな風にたあいもなく言い合う時間が楽しい。夕方には飛行機に乗って殺伐とした現実に帰らねばならないことは今は考えたくない。
「…何の歌かは覚えてねぇな」
突然変わった話題にシェリーは再度ジェイクを振り仰いだ。
「え?」
「さっきの口笛。物心ついた頃から知ってるメロディだ」
そうなの、とシェリーが呟くとジェイクが笑った。
「そういえばあん時も吹いてたぜ」
あの時?とシェリーは首を傾げた。
「お前と出会った時だ。口笛吹きながら栄養剤打って、一緒の雇われたヤツが変異して襲ってきたのを叩きのめしたらお前が現れたんだ」
ああ、とシェリーは頷いた。やっと見つけた彼は既にCウィルスを打っていて、しかも変異していなかった。自分たちが待ち望んだ存在であることを既に証明していた。
「意味わかんねぇことばっか言ってっから頭がイカれてんのかと思ったぜ」
「失礼ね!」
「鈍くさかったし、アメリカって国はよほどの人材不足なのかと――」
言いかけたジェイクの首筋に手の甲を当ててそのままするりと服の中に手を入れて背中を触った途端、ジェイクが「つめてぇ!!」と首を竦めた。
「誰が鈍くさいのよ」
シェリーは膨れながら更に両手でジェイクの首を包んだ。今は12月でまだ暖房が十分に効いていない状態ではシェリーの手はかなり冷たいはずだ。
ジェイクの首を包んだ両手の上から彼の大きな手が被さる。ジェイクの手は寒い中でも結構温かかった。
「そういうとこが鈍くさいんだろ。こんなことしてタダで済むと思ってんのか」
段々近づいてくる顔を避けるために後ろに仰け反ろうとして、手を掴まれていることに気づいた。
「ちょっ…、放してよ!」
「やだね。触りたいんだろ?いくらでも触らせてやるよ」
「いい!遠慮する!」
ジェイクの首のあたりでいつの間にか握り込まれた手を引けどもビクともしない。
「遠慮するなって」
更に近づいてきた顔から逃げようにも、肘掛けに阻まれてこれ以上後ろに下がれない。
「昨日散々したじゃない!今日はもう帰るから――」
「夕方だろ?2時間あったら十分――」
言いかけたジェイクの言葉にシェリーは激しく首を振る。
「無理無理!2時間じゃ無理!シャワーも浴びなきゃだし、それじゃ足りない!」
口から出るに任せて叫んでから、シェリーは血の気が引いた。今の言い草じゃまるで――
「ふぅん」
ニヤリと口の端を上げて笑うジェイクの顔に「ち、違う!そういう意味じゃない!」と慌てて手を振る。そして、手が解放されていることに気づいた。
「じゃあ2時間以上の濃厚なヤツは次に持ち越しな。楽しみにしてるぜ」
そしてジェイクは再び軽快な口笛を吹きながら読書に戻った。こうなるとシェリーが何を言っても事態はひっくり返ることはない。
「だからお前は鈍くさいってんだよ」


――そういう鈍くさいところが可愛い、なんて絶対口には出さないがな、と思っていることなどシェリーは知る由もない。




ジェイクがチャプ1で吹いてる口笛は何の曲かわかんないけど、結構ふとした拍子に口笛吹いてそうだなぁと思いました。
それをシェリーが横で聞いていて…ってオチが思いつかなかったからいつも通りwww
本当はこのくらいの長さで4本くらい書きたかったんですけど、ちょっと時間的にもネタ的にも無理でしたorz

とりあえず冬休み終わって通常運転に戻ったら、モリモリ創作する><

メリークリスマス!!

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Comment

無題
  • ノレン
  • 2013-12-23 23:30
  • edit
透子さんフライングやwwwww
(;//́Д/̀/)=3うかつでどんくさいシェリーちゃんが好きでうす
ジェイク君ふだんどんだけ時間かけてるんです?( ^▽^)そういやあの曲なんなんでしょうね?
もっとカッコいいジェイクに注目して!
  • 透子 〔管理人〕  
  • 2013-12-24 15:33
何か私が書くとジェイクがえろい方向に行ってしまう…orz
ジェイクはきっと短かろうが長かろうが自由自在なんですよきっと!

曲は自作なんでしょうかね…ママンが歌ってたとかにしようかと思ったけど、そのネタ使ったしな~と思ってやめたの(`ФωФ')

フライングでいいやんか!遅いよりいいやんけ!
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